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ロンドンのケンジントン・ガーデンで行われているSerpentine Gallery Pavilion 2013。パビリオンは日本人建築家藤本壮介の作品。ケンジントン・ガーデンの緑に素晴らしく映えます。現地でも大人気のようで、藤本さんのツイートからその活況ぶりがうかがい知れます。2013年10月20日まで設置されていますので、この期間ロンドンに行かれる方はぜひ立ち寄られてみては。 (さらに…)

見慣れたものが混ざり合い、ふと何かに変わる瞬間。 それは「美しさ」や「新しさ」ではくくれない、どこか「偶然」のようなものだ。そしてそれは時として、理屈抜きの感動が伴う。

 

森川拓野は、日常に潜む、ちょっとした変化を捉え、自身の心の本棚に積み重ねていくことで、昨日までできなかったことを可能にする。そして、日本の伝統ある技術を持った職人達と、新しいテクスチャー、風合い、柄、触感を作り上げる。さらにその連続、積み重ねがTaaKKとなり、長く愛されるブランドとして常に変化と成長を遂げていく。どこか普遍的ではないけれど、深く長く愛される「根付き感」。目指す世界は、まさにその中にあるのだ。

 

また、TaaKKを形作る上で、使う「色」にも魂を込めていきたいと言う。 「人の心や気分にパワーを与えてくれる、最も原始的な要素って、『色』なんだと思うんです。僕は元気な色が大好きですが、表現したいのはそれだけではありません。だからこそ僕が毎シーズン作りだす色のパワーやバリエーションに、みなさん期待をしてもらいたいと願っています。」

 

自分にしかできないクリエイションで、着る人の心を躍らせるような、日常を力強く楽しくするようなファッションを生み出そうとする情熱は、未来をしっかりと見据えた人だけが持ちうる、未知のパワーである。

 

運命は、努力する者だけに与えられる偶然。次のコレクションではどのような「偶然」を提示してくれるのだろうか。大いに期待したい。

 

【プロフィール】

森川 拓野(もりかわ たくや) 文化服装学院卒業後、(株)イッセイミヤケ入社 ISSEY MIYAKE / ISSEY MIYAKE MEN パリコレクションの企画デザイン担当を経て独立。 2012年 森川デザイン事務所設立 自身のブランドTaaKKを立ち上げる。

 

※TaaKKの世界観は、こちらでお楽しみください

 

※バックナンバー
第1回:『TaaKKが出来上がることの意味』
第2回:『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』 
第3回:『本当に好きなものは、自ら生み出せ』 
第4回:『美しいモノ、新しいモノの先へ』

 

森川拓野(もりかわたくや)、31歳。 村上春樹の小説から出てきたような、不思議な眼光を放った青年は、親近感の中にどこか神秘的な知性をまとい、柔らかなオーラを放っている。 話しはじめると、実に爽やかで、闊達さがプクプクと溢れ出し、すぐさま我々を魅了する。それは、大人になって久しく感じていなかった、どこまでもよどみない、明るく澄んだ期待感のようなものだ。彼のことを知らずにはいられないと、心から感じた。

 

産業ロボットの開発者である父と、花をこよなく愛する母に育てられた男の子は、幼少期から新しいモノや美しいモノを作る現場の「すぐ隣」にいた。 そしてそれが、なんの障害もなく、「すぐ隣」から「目の前」に変わることとなる。 美容師の姉の影響もあって、高校時代にファッションに目覚めた。アルバイトでお金を貯め、無理してでも有名ブランドの服を買うようになるが、同時に、カゴ作りやニット作りが趣味であった母に洋裁を習い始める。そこで気付くのだ。

 

本当に好きなものは、「買う」よりも「作る」方が面白いのだと。

 

大好きだという感情。綺麗なモノを作りたいという願い。そしてそれを大切に育てようという情熱。 そんな、心の中にある“形のないモノ”が、“形あるモノ”を生み出す時間は、何処までも自由で刺激的だった。 そして気がつくと、ファッションデザイナーとしての自分が、すぐ「目の前」に立っていた。

 

類は友をも呼んだ。文化服装学院に進学し、たくさんの戦友に恵まれた。コムデギャルソン最年少デザイナーとなった丸龍文人や、 .efiLevol(エフィレボル)のデザイナー飛世拓哉は同窓生である。お互いに良きライバルとして、かけがえのない友情を育みながら、新しい時代の才能を秘めた若者は、ファッション業界で生きていくための楽しい「覚悟」を決めたのだ。

 

デザイナーとして独り立ちした今、彼はしっかりとした口調で未来への野心を語ってくれた。(つづく)

 

※TaaKKの世界観は、こちらでお楽しみください

 

第1回:『TaaKKが出来上がることの意味』
第2回:『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』 
第3回:『本当に好きなものは、自ら生み出せ』 
第4回:『美しいモノ、新しいモノの先へ』

 

「洋服とか、生地とか。そういう意識ってあまり重要じゃないんです。」

 

そう話す森川拓野にとって、洋服に使う素材も生地も、当たり前のように無限大に存在している。

 

文化服装学院を卒業後、彼は三宅一生の下で経験を積む。 「僕は、イッセイミヤケのチームに入ることで、何気ないフラットなところから何かが出来上がる瞬間をたくさん見ることができました。ただそこに置いてあるだけのモノが、なんとなく美しくて、それをそっと持ち上げると、更に美しいフク(服)になる。そんなショッキングな体験をしながら、モノづくりと真正面から向き合う日々でした。三宅さんの周りには常に一流のメンバー達が集まり、僕もその中に飛び込んで、ひたすら手を動かすことができた。そして7年間の中で、自分の常識や美意識が塗り替えられていく実感こそが、独立という夢への架け橋となりました。」と、ゆっくり丁寧に語ってくれた。

 

忘れられないエピソードがある。

「捨ててあるものを拾って、可能性を生み出せ。」

プリーツや和紙だけで洋服を生みだす神様は言った。
高価な素材の中に良さがあるのではない。生地という概念に縛られることなく、あらゆるものに対してもっと自由であれと。 固定概念やつまらないこだわりを捨て、真に自由なモノづくりに取り組むこと。これが、まぎれもなく彼の原点となった。

 

「綺麗な赤い布を3ヶ所パチパチと切り込んで、頭と両手を出したら、どんな洋服よりも美しくなることだってある。美しい洋服は3分でも作れる気がするし、僕はそういう瞬間を楽しむために生きているようなものなんです。」と夏の青空のような笑顔を見せた。(つづく)

 

※TaaKKの世界観は、こちらでお楽しみください

 

第1回:『TaaKKが出来上がることの意味』
第2回:『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』 
第3回:『本当に好きなものは、自ら生み出せ』 
第4回:『美しいモノ、新しいモノの先へ』