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森川拓野インタビュー(4/4)『美しいモノ、新しいモノの先へ』

見慣れたものが混ざり合い、ふと何かに変わる瞬間。 それは「美しさ」や「新しさ」ではくくれない、どこか「偶然」のようなものだ。そしてそれは時として、理屈抜きの感動が伴う。

 

森川拓野は、日常に潜む、ちょっとした変化を捉え、自身の心の本棚に積み重ねていくことで、昨日までできなかったことを可能にする。そして、日本の伝統ある技術を持った職人達と、新しいテクスチャー、風合い、柄、触感を作り上げる。さらにその連続、積み重ねがTaaKKとなり、長く愛されるブランドとして常に変化と成長を遂げていく。どこか普遍的ではないけれど、深く長く愛される「根付き感」。目指す世界は、まさにその中にあるのだ。

 

また、TaaKKを形作る上で、使う「色」にも魂を込めていきたいと言う。 「人の心や気分にパワーを与えてくれる、最も原始的な要素って、『色』なんだと思うんです。僕は元気な色が大好きですが、表現したいのはそれだけではありません。だからこそ僕が毎シーズン作りだす色のパワーやバリエーションに、みなさん期待をしてもらいたいと願っています。」

 

自分にしかできないクリエイションで、着る人の心を躍らせるような、日常を力強く楽しくするようなファッションを生み出そうとする情熱は、未来をしっかりと見据えた人だけが持ちうる、未知のパワーである。

 

運命は、努力する者だけに与えられる偶然。次のコレクションではどのような「偶然」を提示してくれるのだろうか。大いに期待したい。

 

【プロフィール】

森川 拓野(もりかわ たくや) 文化服装学院卒業後、(株)イッセイミヤケ入社 ISSEY MIYAKE / ISSEY MIYAKE MEN パリコレクションの企画デザイン担当を経て独立。 2012年 森川デザイン事務所設立 自身のブランドTaaKKを立ち上げる。

 

※TaaKKの世界観は、こちらでお楽しみください

 

※バックナンバー
第1回:『TaaKKが出来上がることの意味』
第2回:『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』 
第3回:『本当に好きなものは、自ら生み出せ』 
第4回:『美しいモノ、新しいモノの先へ』