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喜怒色に顕さず

「あるとき私が何か漢書を読む中に、喜怒色に顕さずという一句を読んで、その時にハット思うて大いに自分で安心決定したことがある。「これはドウモ金言だ」と思い、始終忘れぬようにして独りこの教えを守り、ソコデ誰が何と言って誉めてくれても、ただ表面に程よく受けて心の中には決して悦ばぬ。また何と軽蔑されても決して怒らない。どんなことがあっても怒ったことはない。」

福沢諭吉