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森川拓野インタビュー(2/4)『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』

「洋服とか、生地とか。そういう意識ってあまり重要じゃないんです。」

 

そう話す森川拓野にとって、洋服に使う素材も生地も、当たり前のように無限大に存在している。

 

文化服装学院を卒業後、彼は三宅一生の下で経験を積む。 「僕は、イッセイミヤケのチームに入ることで、何気ないフラットなところから何かが出来上がる瞬間をたくさん見ることができました。ただそこに置いてあるだけのモノが、なんとなく美しくて、それをそっと持ち上げると、更に美しいフク(服)になる。そんなショッキングな体験をしながら、モノづくりと真正面から向き合う日々でした。三宅さんの周りには常に一流のメンバー達が集まり、僕もその中に飛び込んで、ひたすら手を動かすことができた。そして7年間の中で、自分の常識や美意識が塗り替えられていく実感こそが、独立という夢への架け橋となりました。」と、ゆっくり丁寧に語ってくれた。

 

忘れられないエピソードがある。

「捨ててあるものを拾って、可能性を生み出せ。」

プリーツや和紙だけで洋服を生みだす神様は言った。
高価な素材の中に良さがあるのではない。生地という概念に縛られることなく、あらゆるものに対してもっと自由であれと。 固定概念やつまらないこだわりを捨て、真に自由なモノづくりに取り組むこと。これが、まぎれもなく彼の原点となった。

 

「綺麗な赤い布を3ヶ所パチパチと切り込んで、頭と両手を出したら、どんな洋服よりも美しくなることだってある。美しい洋服は3分でも作れる気がするし、僕はそういう瞬間を楽しむために生きているようなものなんです。」と夏の青空のような笑顔を見せた。(つづく)

 

※TaaKKの世界観は、こちらでお楽しみください

 

第1回:『TaaKKが出来上がることの意味』
第2回:『捨ててあるものを拾い、可能性を作る』 
第3回:『本当に好きなものは、自ら生み出せ』 
第4回:『美しいモノ、新しいモノの先へ』