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今泉悠氏インタビュー(3/4)『ayameがもたらすもの―それは「大人の余裕」と「責任感」』

今泉悠氏インタビュー(第三回)
『ayameがもたらすもの―それは「大人の余裕」と「責任感」』

 

2010年に誕生したアイウェアブランド「ayame」とは一体どのようなブランドなのか?「ブランドのテーマを『温故知新』という言葉で語っていますが、最近はそれだけではないような気がしています。僕にとってファッションとしての60年代ビンテージはとても心地よく、素直にかっこいいと感じます。でも、それだけだとやっぱり今の時代の空気感をまとっていない。ゆるぎないクラシックの中に、知性や品格のようなものを見出しつつ、そこに僕なりの時代性をミックスするのですが、この作業はとても感覚的なもので、すべてを言葉にすることができないんです。」彼はとても正直な男であり、これがすべてなのだと納得してしまった。

 

彼が提案するメガネは、男性と女性でまったく異なる。メンズ向けのコレクションは、かけるヒトを「知的」に仕上げることにとにかく強い執着があるようだ。その一つの手法として、昔の文豪や音楽家が醸し出す「優しさ」と「品格」をエッセンスとして抽出し、フレームの素材やデザインを構築していく。「角」を落としていく挑戦こそが、曲線へのこだわりを形作る。究極的には、「大人の責任感」をカッコよく体現したいのだという。

 

一方、女性についてはまったく発想が違っている。「女性がメガネをかけて、『きれいだね』とか『かわいいね』と褒められることって、実はあまりないと思うんです。それってすごく残念なこと。僕はあえてそこに挑戦したいと思っています。」メガネをかけることで新たに生まれるパーツの魅力があるのだと、彼は断言する。ある人は、セクシーに。ある人はエロティックに。ある人はキュートに。サングラスの場合は、すっぴんを可愛く見せることまで計算する。確かに、そんな魔法のようなメガネがあったら嬉しいに違いないし、メガネをコスチュームのように楽しめる女の余裕が生まれるだろう。

 

さらに、使う素材や加工により、その工程に最も長けた職人を厳選する徹底ぶりは地道な努力の賜物であり、我々をわくわくさせる最も強い起爆剤だ。また、彼のサーファーとしてのこだわりと、女性の美肌へのオマージュとして、UVレンズへのこだわりも忘れてはならない。上質なものを長く楽しむ大人のためのブランド。それがayameなのである。

 

4.今泉悠氏インタビュー(第四回)
『メガネは、品よく美しく』へつづく

1.今泉悠氏インタビュー(第一回)
『イケメンサーファーがアイウェアの世界へ飛び込んだ』を読む

2.今泉悠氏インタビュー(第二回)
『日本人を美しく見せるための飽くなき追求』を読む